厚生労働省の発表により、3月13日以降、マスクの着用は個人の判断に任され、本人の意思に反して強制されることはなくなった。そして5月8日、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが、ついに季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行した。 未知のウイルスが出現してこの方、マスクを一度も着用せず、公共交通機関の利用時に騒動となって注目を浴びた人物がいる。「マスパセ」(マスク・パッセンジャーの略)の名で、マスク着用への同調圧力に抗う主張をTwitterで展開してきた奥野淳也氏だ。 「私はけっして反マスク派ではありません。法律上の義務でもないのに、強制されることに疑問を感じているだけ。コロナ禍では一貫してマスクを着用していないし、不便も感じない」 2020年9月、格安航空会社「ピーチ・アビエーション」の機内でマスク着用を拒否したことで、客室乗務員らと口論に発展。その様子の動画をほかの乗客がSNSに投稿し、炎上した。 「当時、飛行機内でのマスク着用は『お願い』だったはず。しかし、客室乗務員からは『マスクを着用しないなら降りていただきます』と言われました。私は、その『お願い』に従わなかったところ、釧路空港から関空に向かう飛行機が新潟空港に緊急着陸し、強制的に機内から降ろされました。そして、4カ月後の2021年1月19日に逮捕。勤務していた明治学院大学を解雇されました」 その後、威力業務妨害罪などに問われた奥野氏は、2022年12月、大阪地裁で「懲役2年執行猶予4年」の判決を受けた。 「判決には、到底、納得できません。現在、控訴審に向けて弁護士とともに準備中です」 そんな奥野氏も、すべてを失ったわけではなかった。じつはコロナ禍で、人生の伴侶を得ていたのだ。 「知人のイベントで妻と出会い、年が近いこともあって意気投合。交際を経て2022年3月に結婚しました。じつは、私は料理好きで、先日もクミンなどを調合してカレーを作りました。いまは妻との食事が、幸せのひとときです。妻の献身的なサポートに応えるためにも、第一審の判決を覆すことは、最大の使命です」 おくのじゅんや 1986年生まれ 東京大学法学部卒、同大学大学院博士課程単位取得退学。元明治学院大学非常勤教職員。2022年、裁判中に出会った女性と結婚。現在はおもに講演活動をおこなう 文・大崎量平

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