「まだ日も明るかったし、映画の撮影などと勘違いして、まさか現実のことだと思わなかった人たちが多かったという印象。自分自身もそうでした」 いまだ驚いている様子で回想するのは、銀座で起こった強盗事件を目撃し、動画に収めた男性だ。SNSに投稿すると、瞬時に拡散された。 5月8日午後6時過ぎ、目抜き通りである中央通りの高級時計専門店「クォーク銀座888店」に、覆面をした男たちが押し入り、ロレックスの腕時計など70点余りを強奪し、車で逃走。容疑者は3km先で車を捨て、マンションに逃げ込んだところを現行犯逮捕された。しかし、それ以降、捜査の進展はないままだ。 「警視庁は、邸宅侵入などの容疑で逮捕したが、肝心の強盗容疑ではまだ逮捕していません(12日現在)。別件で逮捕し、捜査の時間を稼いでいるのでしょう」(全国紙記者) 一方、自らの “庭” を侵された暴力団関係者は、怒り心頭だという。 「こんな銀座のど真ん中で、白昼堂々と強盗を働くなんて、そこにシマを持つヤクザを舐めてるよ。しかも、実行犯4人は少年。こんなことを見過ごすわけにはいかない」(都内在住の暴力団関係者) 銀座にシマを持つ暴力団関係者は、背後に指示役がいるとみて、上部組織の突き止めに躍起になっているという。 「銀座のシマは、もともと六代目山口組傘下組織のものだったが、住吉会系の組織が借りている『貸しジマ』。だから、六代目山口組と住吉会の両方の傘下組織が情報を集めている。 指示役の組織がわかったら、けじめをきっちりつけなければならない。ただ今回は、我々の常識じゃ考えられない “ルール無視” の犯行なので、まだ情報が錯綜している」(前出・暴力団関係者) 実行犯は無職少年(16)、高校3年の男子生徒(18)、職業不詳の男(19)、飲食店アルバイトの男(19)だった。 「かつては強盗をやるのに、ガキは使いものにならないとされていた。それに未成年を使ったのがバレると、逮捕されたときに組織の存亡にも関わる。 ところが最近は、『捕まっても未成年なら罪が軽くなったり、少年鑑別所送りですむ』などと言って勧誘するケースがある。指示役は、半グレの可能性が高い」(同前) 4人の犯行を「かなり稚拙」と指摘するのは、元警察官でセキュリティコンサルタントの松丸俊彦氏だ。 「バールや車を用意し、ナンバープレートをつけ替えるなどの計画性はあるが、犯人たちの動きを見ると役割分担ができていない。事前に訓練した様子もなく綿密さに欠けている。これだと、捕まえてくれと言わんばかりでしょう」 また、前出の暴力団関係者も「素人の犯行だ」と断ずる。 「逃走中に赤信号で止まったからね。しかも、犯人は奪った腕時計を持ったまま逮捕された。これはあり得ない。盗品は犯行後すぐに誰かに渡してカネにしないと意味がない」 じつは事件後、盗まれた腕時計のシリアルナンバー(製造番号)が、古物商の間で出回ったという。都内で中古腕時計を扱う宝飾品店のオーナーはこう話す。 「事件の翌日には、奪われた腕時計のシリアルナンバーが載ったリストが同業者から届きました。盗品を扱うと免許を取り消されることがあるので、リストに載っている時計を見つけた場合、すぐに警察に通報します。質店も同様です。なので、犯人が盗品を我々に売ることは難しい」 しかし、裏社会では盗品のロレックスを専門で買い取る業者がいるという。別の暴力団関係者はこう明かす。 「都内では渋谷や新宿、池袋に『曲がり』(盗品)を専門で買い取る人物がいます。強盗を働く場合は、事前に彼らに連絡して、奪ったらすぐに買い取ってもらう。 ただ、かなり買い叩かれます。100万円のロレックスなら、正規販売店の仕入れ価格は70万円ほどですが、盗品の買い取り価格は、さらにその10%程度。本来はこうしたルートを事前に確保していないと、ロレックス強盗などできません」 指示役がいるなら、彼らの考えは相当に甘かったということか。

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