高級腕時計を狙った強盗事件が多発している。3、4月に東京・上野の貴金属店からスイスの高級ブランド「ロレックス」など45点(1億円相当)が奪われた。警視庁が警戒を強める中、東京・銀座では今月8日、白仮面をかぶった10代の少年たちがロレックス専門店に押し入り七十数点(2億5000万円相当)を盗み出した。 なぜロレックスが狙われるのか。背景にはここ数年の異常な価格高騰がある。 市場の動向に詳しい関係者は「人気モデルのデイトナは定価が約180万円ほどですが、今や中古でも400万円、500万円とプレミア相場になっています」と話す。金と同じように価値の下がりにくい安定資産として、まず海外で需要が高まり、連動して日本でも上昇相場になったという。これに拍車をかけたのが新型コロナウイルスの流行で「レジャーや旅行が制限されて、(その資金で)富裕層を中心にロレックスの購入熱が世界的に高まった」とした。 一方で、コロナ禍で工場が一時止まるなどして新品在庫の流通量は減少。手に入りづらい状態となり、中古の価格が高騰することになった。 高級腕時計にはシリアルナンバーがつくため「買い取ってもらおうとしてもすぐにアシがつく」と言われている。業界内では盗品リストを共有。昨年、京都市の店舗で盗まれた時計が東京の買い取り業者に持ち込まれ、売った女が特定され逮捕に至っている。 簡単には売れないロレックスをなぜ盗むのか。詐欺や悪徳商法に詳しいジャーナリストの多田文明氏は、犯罪組織が関与しているとみており「一般家庭への強盗は侵入してみるまでどこに何があるか分からず失敗するリスクがある。店なら確実に金目のものを取れると考えたのではないか」と指摘。「盗品を現金化できる闇のルートが確立しているのではないか。オンライン売買や海外へ持ち出しての取引が考えられる」とした。 海外に流れたロレックスは、裏社会で“プレゼント”のような形で譲渡されているとの情報もある。犯罪者が次の仕事につなげるため“ワイロ”のようなものとして使われているという。 世界的に愛好家の多いロレックスだけに、一連の事件の一刻も早い真相解明が待たれる。

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