茨城県内でクレジットカード不正利用の被害が増加している。新型コロナウイルス禍を契機に、インターネットで買い物する人が増えたことが背景にあるとみられ、昨年度は県内の消費生活センターに約300件の相談が寄せられた。不正に入手したカード情報などは、匿名性の高い闇サイトで世界的に売買されるケースが確認されており、県警などが取り締まりを強めている。 ■「まさか自分が」 「お客さまのクレジットカードが不正利用されている疑いがあります」 県内の銀行から3月、県内在住の男性に連絡が入った。シンガポールで、男性名義による6万円に上る利用があったが、入力情報が間違っていたという。 男性は同国を訪れたことがなく、カードも大手ECサイト1社でしか使っていなかったという。「不審なメールも開かないようにしていた。まさか自分が被害に遭うとは思わなかった」と驚く。 カード情報を狙った犯罪を巡っては、茨城や神奈川など8県警の合同捜査本部が今月1日、不正アクセス禁止法違反容疑で中国籍の男を再逮捕。男のパソコンや記憶媒体などには延べ約290万人分の決済IDやパスワードが保存されていた。犯人グループは、本人に成り済まし、コンビニ店で購入したたばこを輸出しようとしたとみられる。 ■国内で過去最悪 国内で発行されたカードの不正利用は、悪化の一途をたどっている。 日本クレジット協会(東京)によると、昨年の不正利用額は過去最悪の436億円で、10年前の約6.4倍に増えた。被害の9割以上は、盗んだカード情報を基に本人に成り済まして使う「番号盗用」という。 同協会などによると、カード情報が盗まれる主な手口は、メールなどで偽物のフリーマーケットアプリや金融機関サイトに誘導する「フィッシング詐欺」と企業への不正アクセスだ。国民生活センターによると、昨年度に県内で寄せられた同種被害の相談件数は295件と、前年度の約1.3倍に増えた。 被害が相次ぐ背景について、フィッシング詐欺に詳しい山本国際コンサルタンツ(東京)の山本正行代表は、「偽サイトの質が高く本物と見分けるのが困難になった」と手口の巧妙化を指摘。最近では、被害者が詐欺かどうか判別しにくくするため、「会員ページで確認」などのリンク先を組み込んだメールを送ったり、実在する企業のキャンペーンに紛れ込ませたりして情報を抜き取っているという。 ■1日数千件流出 抜き取られたカード情報の一部は、闇サイト上で世界的に売買されているとみられる。 情報セキュリティーのサウスプルーム(東京)によると、カード情報流出は1日数千件以上に上るという。 同社が収集した闇サイト情報では、フィッシングを意味する魚の絵文字と国名、クレジット番号がセットになった「商品」が並ぶ。 篠田律社長は「相場は1枚5千~5万円ほど。フィッシング詐欺で得た情報は比較的高値」と語った。このほか、最新手口に関する情報交換の場や不正に購入した商品の輸出業者の募集、協力者リストもあるという。 こうしたサイバー犯罪の増加を背景に、県警は専門部署を創設。独自にIT技術者も採用して対策を強める。 県警サイバー犯罪対策課は「(カードの)利用明細の小まめな確認が大切。被害に遭ったら情報を寄せてほしい。積み重ねが犯罪組織にたどりつく助けになる」と訴えた。

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