岸田文雄首相の演説会場に爆発物が投げ込まれた事件で、木村隆二容疑者(24)=火薬類取締法違反容疑で再逮捕=が昨年11月ごろに火薬の原材料を購入していたことが13日、捜査関係者への取材で分かった。容疑者が被選挙権の年齢制限は不当だとして起こした国家賠償請求訴訟が神戸地裁で棄却された時期と重なる。県警は、選挙制度への不満が事件の動機につながった可能性もあるとみてスマートフォンの解析などを進めている。 県警によると、容疑者はこれまでの調べに黙秘を続けている。動機の解明は長期化するとみられ、精神状態を調べるための鑑定留置も検討されている。 捜査関係者によると、兵庫県川西市の容疑者宅の自室から黒色火薬の成分を含む約530グラムの粉末を押収し入手経路を調べたところ、昨年11月ごろに原材料を購入していたことが判明した。容疑者は昨年6月、被選挙権の年齢制限を理由に翌7月投開票の参院選に立候補できなかったのは憲法違反だとして提訴。容疑者のものとみられるツイッターでは訴訟の期日を紹介し、現行の選挙制度への不満をつづっていた。 神戸地裁は昨年11月の判決で、年齢制限などには合理性があるとして請求を棄却。ツイッターには《憲法違反による制限選挙を全面的に容認した》と判決を批判する記述があった。県警によると、容疑者はこの頃に火薬製造を始めたとみられる。 敗訴を事件に至るきっかけの一つだったとみるのは奈良女子大の岡本英生(ひでお)教授(犯罪心理学)だ。 岡本氏は「成功体験に乏しく、無職で社会と隔絶した生活を送っていたとみられる容疑者にとって政治家という仕事は肥大化した自尊心を回復させる唯一の手段だった」と推測。敗訴により自尊心回復の道が絶たれ「心には政治家への憎しみだけが残った。その憎しみが爆発物の製造に向かったのかもしれない。不特定多数を攻撃できる物をつくることで、自分を大きくみせたいという思いがあったのでは」とする。 一方で「敗訴が岸田首相を狙う直接的な理由となるには飛躍があり、精神状態の解明は不可欠だ」と指摘した。(土屋宏剛、香西広豊)

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