浜松市で5月3~5日に開かれた浜松まつりは大凧揚げの糸切り合戦や激練りが復活するなどコロナ禍前の状況に一歩近づいた。市によると、現在の集計方法で過去最多の延べ約255万人が繰り出し、一定の経済効果をもたらした。 ■飲食、小売り 売り上げ増/酒類禁止 提供店は伸びず 間渕商店(同市中区)が中心街で営業する「食堂まぶち」は観光客からギョーザの注文が相次ぎ、3~5日の売り上げは平日に比べて約4倍に増加。近くで営業するイタリア料理店も連日、ほぼ満席が続いた。 遠州鉄道が運行した凧揚げ会場とJR浜松駅を結ぶシャトルバスの輸送人員は前年の約2・4倍で、コロナ禍前の水準に戻った。 東海キヨスク(名古屋市)によると、浜松駅のギフトキヨスクなどの売り上げはコロナ禍前の2018年の2割増し程度になる見通し。担当者は「浜松駅の売り上げ増は特に目立った」と話す。 最終日に初開催された松本潤さんらの騎馬武者行列を目当てに訪れたファンの消費も後押しに。大河ドラマ館に隣接し、飲食や雑貨の特産土産など約600種類をそろえる「出世の街 家康SHOP」は4、5の両日、4月の土、日曜と比べ約2倍の売り上げを稼いだ。松本さんのイメージ色「紫」のタオルハンカチや浜松注染染めの巾着、本人監修グッズなどがよく売れた。 春華堂は和菓子「八丁みそまん らぶいで候」の限定商品を発売。箱に「MisomanJyu」のロゴを入れ、松本さんのイニシャルと同じMとJを大文字にした。まつりの3日間で700箱を完売した。 一方、「飲酒禁止」の影響が直撃した酒類提供店からは不満が漏れた。東区の小売店主(68)は会所開きなど参加町の「たる酒」販売などが動かず、「コロナ禍前の3割程度にとどまった」と肩を落とした。 13年に組織委などが発表したまつりの経済波及効果は約60億円。その後の指標はないが、しんきん経済研究所(中区)の神谷裕主席研究員は「4年ぶりの完全開催に近い形で、にぎわいの創出と消費促進の効果は表れていた」とみている。 ■大きな事故やトラブルなし 各町ルール守り 騒音の苦情も激減 4年ぶりにコロナ禍前とほぼ同じ形で開かれた浜松まつり。浜松市によると、目立った事故やトラブルの報告はなく、騒音など市民の苦情もコロナ禍前に比べ激減した。まつり組織委員会は「参加各町がルールをしっかりと守ってくれたおかげ」と胸をなで下ろす。 今年は前年まで禁止していた激練りや大凧(だこ)の糸切り合戦を解禁し、観客上限も撤廃した。一方、新型コロナの感染症法上の位置付けが5類に引き下げられる前だったため、組織委は会場などでの飲酒を禁止し、関連行事の午後9時終了の制限を設けた。 浜松中央、浜松東、浜松西、細江各署によると、期間中はまつりに絡む逮捕事案や、任意で事情を聴くようなトラブルもなかった。 組織委の企画統制管理部(統監部)などは参加町が多い浜松中央、浜松東両署に連日詰め、署員と苦情対応に当たった。コロナ禍前は「うるさい」「終了時刻を守っていない」などの苦情が連日数十件寄せられていたが、今年は1日数件程度だった。 来年は飲酒が解禁される見通し。組織委の広野篤男代表委員は「これからも規律を守り、伝統の浜松まつりを続けたい」と話した。

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